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POWER/CHIKARA (PWR-0002) CD

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POWERの1stアルバムを聴いて思ったこと

ドラッグをやらない、タバコは吸わない、酒は飲まない、愛のないセックス はしない、という禁欲的な姿勢はStraight Edgeと呼ばれていて当時の僕は背 筋が凍りついたが、世の中のトレンドに流されず強い意志を貫きアンダーグラウンドに身を置き続けるイアンの哲学は多くの国の地下音楽コミュニ ティーに伝染し、その活動が説得力を持って響いたのは「ただただ音楽がヤ バかったから」に他ならない。もう遥か昔の話だけど、自分の音楽の価値観 の根源を揺さぶられる影響の受け方をしたように思う。
海外のユースカルチャーの動きにいち早く共振狂信し、そこに独自解釈を入 れながら日本で体現していた根本潤氏(以下ねもじゅんさん)の動きを扇情 的に振り返ってみると、スティーブアオキのレーベルからリリースしていた り、今では多くの人が共有している懐かしく物悲しいニュアンスを日本で初めて「エモい」と言語化していたり、大いなるバンド遍歴他、海外ツアーや ファンジン制作やレーベル運営等々、今では誰にでも開かれた間口を率先してこじ開けてきたように思う。それらの活動が説得力を持って響いてくる理 由は先に述べた通りだ。再始動を果たしたmouse on the keysの主力サポートメンバーでもあるし、シーンに与えた影響はでかい。
先日たまたま新宿NINE SPICEを通り掛かると入り口にねもじゅんさん、歩さん、小沢さんが立っていた。成り行きでそのまま観たPOWERのライブは 自然そのものだった。ステージ上の姿と入り口に立っていた姿が同じに見え た。自然現象にとって秩序と混沌は同じものを意味する。その境地を POWERの演奏に見た。
翌日。フィジカルで音源を買わなくなり、spotifyのアルゴリズムに用意され た選択肢の中から音楽を選ぶ僕の耳に、POWERのアルバムは産地直送便で届 けられた。リリックを追いながら曲を聴き進めて行くと、初めてZのライブを 体験した時と似た興奮を覚えた。日本の地下音楽におけるクラシックの一つ 「500万円」(Z / 御壁収録 2009)の演奏を初めて目撃した時、ねもじゅんさ んはヒッピーみたいな出立ちでゾンビみたいに叫び、弟の歩さんは般若のような眼光で強靭なビートを叩き出していた。怒りとフラストレーション、エ ネルギーが一点に向かって集約していく音の緊張感に殺されると思い、血液 が逆流した。他のものとは明らかに何かが違う、それこそが唯一の価値なん だと思った。アーティストには多感な時期に受けた影響の延長線上にいるタ イプと常に変化を続けるタイプの人がいる。明らかに後者のねもじゅんさんの現在の表現には生への慈しみを感じる。陰と陽の絶え間ない循環を見る。
POWERが今までにリリースした音源は2016年にリリースされた3曲入り7イ ンチ TEVESU のみ。当時のインフォを見ると、
『絶大な影響力を誇る元 THERE IS A LIGHT THAT NEVER GOES OUT , Z の 根本兄弟によって結成されたバンド ”POWER”
THE EX,LUNGFISH, THIS HEAT, CAPTAIN BEEFHEART & HIS MAGIC BAND, SOFT MACHINE, CURTIS MAYFIELD, THE SMITHS, MAKE UP,THROBBING GRISTLE, MINUTEMEN, SACCHARINE TRUST, CHROME, aksak maboul, JAMES CHANCE ,BIG BOYS, liliput, プラスチックス等と様々に評されるその
音はジャンルの壁を突き崩す未知なるサウンド!』
とある。ハイコンテクストなバンド名が羅列されている。サッカリントラス トを知っている日本人は1000人に満たないだろう。この時期は4ピースバンド でその後ギタリストの脱退もあり活動は停滞していたようだ。2019年にベー スの小沢さんが再加入する形で3ピースバンドとなったPOWERはパンデミッ クの混乱を経て1stアルバム「CHIKARA」を完成させた。(天竺通信 根本潤 で検索を)
Introとoutroを含めた全9トラック、今更ながら古典的で王道なアルバム構成から分かるように、音楽史への深い愛情は1stアルバムにしか宿すことの許されない純度を維持したままいびつな風格を備え、ストリーミング時代にアルバムという作品性にこだわる意味を軽やかに提示する。この作品は独自のオルタナティブを手繰り寄せてきた者による自己探求の成果であり、品質管理 されたソーシャルメディア向けの音とは根本的に違う。FUGAZIにおけるヒップホップやダブの解釈を踏襲したとか陳腐な解説が通用するはずもなく、固定観念や決めつけをするりと交わすハードコア脱構築の臨界点。日本稀代のリリシストであるねもじゅんさんのヴォーカリゼーションは多様さを極め、 父親になったことによる感情の機微を子供と同化しながら豊かに表現する。 ヒップホップでいうところのフロウとデリバリーは五線譜からはみ出しまくり、土着的で幽玄な声は説明不能な整合性を保つ言語感覚を持ってしてポッ プに表出される。その歌に追随する津軽三味線のような日本海の荒波を彷彿 とさせる線の細いギターにはトレモロがかけられ、細胞分裂的な広がりをみ せていく。小沢さんの瀬戸内海の渦潮のようなベースと素っ頓狂なファル セットに頭のネジが外れそうになりながら、snoop dogというかEAZY-Eな歩さんの太平洋みたいなタメの効いたスネアによって再び正気を取り戻し、あ あ、これは3歳から100歳にまで開かれたダンスミュージックだと理解する。 バンドアンサンブルは技術力や成長を過剰に求めるのでもなく、あくまで自然にその場で呼吸しており、通り一辺倒の機能からの逸脱を志願している。 蛇の形をした地下鉄に乗って辿り着いた場所は静かな海だった。僕らはずい ぶん先の世界にいた。
「ようこそ この様子へ ようこそ いらして
集めたものが 燃えて 火になった 欲を まとめて
中で動いてる赤い海 確かに 嬉しい火
集めたものが 燃えて 火になった 奥を見つめて 中で動いている赤い海 確かに嬉しい血」
POWERの開放的でコミューナルなバイブスを持つ楽曲達はライブハウスとい うより自然の中で聴きたくなる。風の時代と言われているそうだ。否定から は何も生み出さないが肯定からは無限の宇宙が広がると背中を押すその風に乗って僕も何か作りたくなってくる。悲観にくれることなく連帯を呼びか け、イマジネーションは波紋を広げて発光を繰り返し、僕らの現在地を照らす。
JUNE OF 44と対バンする日にこのアルバムがリリースされることに巡りゆく 縁起を感じつつ、検索でヒットされる気がないPOWERの最先端のセンスは創 造力に限界はないと教えてくれる。感謝しかない。
矢野弘道(天竺チャンネル)

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音楽とは…音を楽しむと書いて成立しているようだ。ということは、前衛音楽であれば、「前衛的な(分かりづらい)音を楽しむ」という意味なのか。即興音楽は、「その場で出した音を楽しむ」ということなのか…
ちょっと違う気がします。音楽はミュージックと解され、ジャンル分けされている。探しやすく、求める者に伝わるように。
このPOWERというアジア系の3人組による(まずは)コムパクトディスクを聴いてみたところ、私は確信しましたよ初めて。これは、音楽だと!
ちょっと怖く始まるけど、一気にリゾート。最後は地獄から門に入ってくださいね!

この3人がやってきた楽団名の羅列で締めくくります。
REVOICE,SWIPE,FALL TO FLAKE,FADE,WALL, query,1%,モガリブエ, when you sleep,s is for sound,THERE IS A LIGHT THAT NEVER GOES OUT,Z,oneux,hununhum,I.C.E.
だと思います。

POWERのギターと歌担当者は、日本で初めて「エモい」という形容詞を学生時代の1992か1993年に発明しました。

キーワードはalternative,hardcore,neowave,emo,dub,fugazi,jawbox,gravity records,90年代型ハードコアとかですかね

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POWER.9songs Compact Disc
Title : CHIKARA
Artist : POWER
Total Playing Time 00:38:18.02

Track 1:WELCOME 00:01:07.46
Track 2:BEACH 00:03:55.05
Track 3:HEAT 00:05:31.74
Track 4:FIRE 00:05:29.74
Track 5:FORM 00:04:36.60
Track 6:TURN 00:05:22.74
Track 7:FAMILY 00:03:11.41
Track 8:HELL 00:04:34.14
Track 9:GATE 00:04:18.01

ジュエルケース/4Pブック仕様

POWER出演の3/9(木曜日)新代田FEVER、JUNE OF 44来日公演にて発売予定。
発送開始日は前後する可能性があります。
特典:POWER sticker(50mm x 90mm)無くなり次第終了

ディストロ、卸価格設定ありますので取扱いしていただける方、unproducts@live.jpまでご連絡ください。

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